可憐なだけじゃない妖精たち Sidhe ケルト人の昔話 Fairy Tale

10月11月は日が短くなり、お天気も悪いのがヨーロッパ。
暗い寒い、これからやってくる長い冬に不安を感じる人も多くなります。
暗い不穏な空気なせいか、この時期は幽霊や超自然的な存在が跋扈する季節です。
墓参の季節でもあります。

可愛い超自然的な存在、妖精は可憐なだけでなく
彼らの領分を犯すと怖いところもあります。

妖精シーの伝承を元にした創作児童文学が「魔の山」(モリ―・ハンター著)。
スコットランドに実在する場所を舞台にしています。
モリ―・ハンターは、ケルト人の史跡をモチーフにした「砦」で
カーネギー賞を受賞している作家です

The Haunted Mountain by Mollie Hunter

マカリスターという男が少しでも収穫を増やそうと、妖精シーのわずかな領分を犯したために
妖精の世界に連れ去られ、マカリスターの息子が苦難の末助ける、少年の成長譚でもあります。
物語の結びで、マカリスターの子孫はアメリカへ移民し、そこで妖精との因縁が切れるのですが、
夢の後のように昔話 Fairy Tale になっています。

妖精の容赦なさに恐れをなしてしまいますが、同時に超自然的な存在を疎かにすると
とても怖いしっぺ返しがあるというのは、なんとなく腑に落ちます。
ちょっとお稲荷さんのキツネを思い出さずにはいられません。

今は絶版になっている本ですが、図書館にはあると思います。
短編の児童文学ですが、大人にも読みごたえのある小説。

秋の夜長 灯火に親しむ頃に
超自然的な存在に思いを馳せるのも楽しいもの。

愛と感謝をこめて

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