「金の髪」 イタリア民話
おはなしのろうそく19 東京子ども図書館
地獄の門が開くと言われる時期
万聖節 万霊節の
暗い季節を 駆け抜ける ドラマチック ロマンス!
金髪が美しい村娘に 横恋慕した領主が
彼女の恋人ピエトロを 亡き者にしようとしたところ
返り討ちに遭い 悪霊と化す
領主殺しが 村に留まれるはずもなく
ピエトロは必ず迎えに来ると約束し 村を離れる
ところが ピエトロの迎えを待つ 金の髪の乙女が
死霊の領主に連れ去られてしまう
墓地の側を通ると 他の死霊が 金の髪に呼びかける
生きている乙女よ! 生きている乙女よ! おまえは 怖くないのか?
「金の髪」おはなしのろうそく19 東京子ども図書館編
墓地の死霊が 叫ぶように語り掛ける
韻文的ではあるけれど 文字で読んでも ぞわーっと 鳥肌が立つ
恋人ピエトロと信じて乗ってしまった馬の騎手が
悪霊領主であると知った乙女の絶望感
息もつかせず ピエトロが馬で追いつく場面
彼女を奪還しようと 全速力で伴走する ピエトロ
地獄門に向って 疾走する馬上で繰り広げられる
スピード感溢れる情景描写は
息を止めて見入ってしまうほど臨場感があるスペクタクル
ピエトロ 本当に農夫?と 思ってしまうくらい
クライマックスで 領主が切り取られた金の髪を掴んで
地獄門に高笑いしながら 突入するシーンは正に地獄図
ものすごく インパクトある場面
ヒロインの金の髪は愛称で 名は不明
恋人がピエトロ という名
ピエトロはペトロ 天国の門で 天国の鍵を持つ人
恋人たちは 別天地の天国へ
悪徳領主は 煉獄の炎の地獄へ
恐ろしくて ダイナミック
どきどき わくわく 息をつかせない
そして とても ロマンチックな お話
民間伝承のハーレクインロマンス ともいえるかも
この語りを聞いた村娘は みんな溜息ついたんじゃないかな
ピエトロに憧れたり 恋してしまいそう
金の髪の乙女に名前がないから 自分に置きかえたりして?
美声のイタリア語で語られたら?
気絶どころか 悶絶死しそう...
それくらい 何度読んでも溜息ついてしまうのです
若い村娘じゃなくても...
元の話はアメリカで出版された イタリア民話
この話はイタリア人なら誰でも知っている話 ではないみたい
数人のイタリア人に 聞いてみたけれど誰も知らなかった
もうすぐ10月31日 ハロウィーン 宗教改革記念日
11月1日は 聖人と殉教者の日 万聖節
11月2日は 死者の日 万霊節
この時期は 墓参の日
感想 ありがとう 感謝